ONLYLOVE〜花火〜

目の前で折り重なるよう倒れこんだ3人に、呆れたように大きくため息をついた翔君が

おまえたちいったいここでなにをしてるんだ?

あんまり聞いたことがないような鋭い声をあげる。

翔君の声にびくっとなった3人がバツが悪そうにおずおずと顔をあげた。

えっとあの

しどろもどろ、言い訳を探す雅紀君。

花火を見に来たんですねえ?

いつもと違って歯切れの悪い和也君に

そうそう花火3人でね?

潤君が苦笑いを浮かべてこくこくと頷く。

3人で花火?

訝しげに低い声でつぶやいた翔君が、嘘をつくなとばかりに眉をぐっと寄せると、3人はすっと首を竦める。

っていうか3人ともいつからそこに?

ふいにぱっと目があった潤君が真っ赤な顔で目をそらす。

もしかして。

いやもしかしてじゃなくて、絶対見られてたっ。

さっきの翔君との。

恥ずかしすぎて、一瞬気が遠くなる。

だからこんなところでって。

翔君を軽く睨むと、翔君は苦笑いを浮かべて小さく肩をすくめた。

あの智さん

顔を見合わせあっていた3人が、意を決したように俺に向かって一歩踏み出すから

え?あはい?

勢いに押されて思わず半歩後ろに下がる。

あの翔兄は絶対に智さんのことを大切にすると思うから。それは俺たちが保証するから

それに智さんがいてくれないと翔兄は一生ひとりのさみしい人生になってしまいます

とにかく俺たちは翔兄と智さん、ふたりに幸せになってほしいって思ってるから

3人はまた顔を見合わせると

だから翔兄のことよろしくお願いします

俺に向かって深と頭を下げる。

ええっとあの

途惑いつつ翔君をへと目をやると、翔君は頭を下げたままの3人に目をやって、やれやれとばかりに肩を竦める。

それからおもむろに俺へと向き直ると、場を仕切り直すようにこほんと小さく咳払いして。

なんだか変な邪魔がはいったけど。改めて智君俺と結婚してください

あの

今度こそ返事に困って俯く。

翔君の家族に認めてもらって翔君とつきあうことを決めて。

一度は覚悟を決めたつもりだったけど。

でも翔君は本来は俺とは生きる世界が違う人だから。

いつもさりげなく俺に合わせてくれているから、そんなに感じたことはなかったけど。

でも翔君は、こんな豪華客船を躊躇うことなくさっと予約できる人。

俺に用意してくれていたこの服も、カジュアルだけど一目で上質なものだってわかる。

一部上場企業の御曹司やがてそのすべてを継ぐ立場の人。

そんな人の隣に俺みたいなのがいていいわけがなくて。

俺の存在は翔君の未来にとってマイナスにしかならない。

俺のせいで本当なら手にできるものをいろいろと失うかもしれないのに。

それがわかっていて結婚なんて。

自分の気持ちだけで軽しく返事できるわけがなくて。

もし俺が女なら玉の輿だって喜べるのかもしれないけど。

残念ながら俺は男だから。

黙ったままの俺に、翔君は少し困ったように眉を下げる。

あんまり難しく考えないで?ずっといっしょにいたいその想いをちゃんと形にしたいだけだから

翔君が繋いだ手にそっと力をこめる。

ずっといっしょにいたい。

この手を離したくない。

俺だってそう思ってる。

思ってるけど。

でも。

不安はあるだろうけどなにがあっても、俺が智君のことを守るからだから

繋いだ手を引き寄せられて翔君の腕の中に抱き込まれる。

智君結婚しよう?

キラキラした瞳が俺を覗き込む。

翔君はずるい。

翔君にそんなふうにプロポーズされて断れる人なんているはずがない。

いいの?

本当に俺でいい?

もしなにか困ったことがあったら俺たちも力になるから

断じて厄介者を智さんに押し付けようとか、厄介払いをしようと思ってるわけじゃなくて翔兄には智さんが必要なんです

翔兄、智さん、ふたりでいっしょに幸せになって?

雅紀君、和也君、潤君の言葉が、躊躇う俺の背中を押す。

3人が固唾をのんで見守る中。

躊躇いながらも翔君の腕の中で小さく頷くと。

翔君は心底ほっとしたように微笑む。

次の瞬間一際大きな花火が夜空に咲いて

周りで感嘆の声があがった。

翔君の腕の中で翔君といっしょに夜空を見あげる。

まるで俺たちを祝福するように光のシャワーが夜空に降り注いだ。

<終>

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山の日の企画でのお話、やっと終わりました。

本当は11日に終わらせる予定だったんですが

このお話は、今連載中のONLYLOVEよりも少し未来のお話になります。

ここにいたるまでのお話も、続きを書いていきますね()

やまの日の企画、やまの日祭りでぃて

わたしのブログでもたくさんの方に叫んでいただいて

本当にありがとうございました。

あと1話この続きを限定で書きたい、と思っていますが

書けるかな

こうやって毎回自分の首をしめておりますが(;)

がんばります。

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